精神科について

精神科は心の症状や病気を専門にみる診療科です。不安や落ち込み、イライラ、落ち着かないなどの気分症状、幻覚や妄想といった精神症状、もの忘れなどの認知症状や睡眠障害も精神科の対象となります。

心と身体の両方に症状がある方も多くいらっしゃいます。当院では原因を広く多角的な視点でみた診療を心がけています。まずはお気軽にご来院ください。

精神科でよくみられる症状・相談

  • 人間関係のことで悩んでしまい、いつも気持ちがふさいでいる
  • 周りの人が悪口を言っている気がする
  • 落ち込みがあり、夜眠れない
  • 気分や体調は変わらないのに、いつも集中できない
  • 子どもの頃から落ち着きがなく、いまも困っている
  • この世から消えてしまいたいと思うことがある
  • 最近、もの忘れが増えてきた

こうしたお悩みは、精神科の専門的な診療をお勧めします。

精神科の主な病気

うつ病

うつ病は、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神状態で、不眠や食欲不振、疲れやすい、集中力の低下などの身体的症状が現れ、日常生活に支障が生じてきます。精神的、身体的ストレスを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態であり、ものの見方や考え方が否定的になる傾向もみられます。

うつ病は気分障害の一つですが、気分障害にはうつ病との鑑別が必要な双極性障害(うつ状態と躁状態を繰り返す病気)などがあります。うつ病かなと思ったら、自己判断をせずに早めにご相談ください。

双極性障害

双極性障害はハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返す病気です。躁状態のときには、周りの人たちが「ちょっとおかしいのでは?」と思えるほどその気分が行き過ぎているという特徴があります。双極性障害はかつて「躁うつ病」と呼ばれており、うつ病の一種と誤解されがちでしたが、実はうつ病とは異なる病気で、治療も異なります。

パニック障害 (不安障害)

めまいや動悸、吐き気、発汗、窒息感、手足の震えといった症状が、突然理由もなく起こります。そのために生活に支障が出ている状態がパニック障害です。「死んでしまうかもしれない」という不安に襲われながら、救急車で病院に運び込まれるけれども、検査しても異常はなく、そのうちに苦しかった症状が消えていきます。このパニック障害は、薬物治療に加えて精神療法の併用が重要とされています。

発達障害

周りから「空気が読めない」「変わっている」とよく言われたり、じっとしていられずに小さなミスが多く続いたりします。代表的な発達障害には、コミュニケーションが苦手でこだわりが強い自閉スペクトラム症(ASD)や、多動で衝動性を抑えることができない注意欠如多動性症(ADHD)があります。小児期から発達障害と診断されるケースと、大人になってから診断されるケースがあります。大人の発達障害の場合は、職場などの環境に対する不適応でみつかることが少なくありません。

統合失調症

統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが難しくなり、そのため幻覚や妄想などの症状が起こります。幻覚とは実際にはないものをあるように感じる知覚の異常です。自分の噂や悪口が幻聴として聞こえてくるなどの症状もみられます。妄想には、嫌がらせをされていると思い込む被害妄想や、インターネットやテレビが自分に関する情報を流していると思い込む関係妄想などがあります。周囲から見ると、「独り言を言っている」「悪口を言われたといった被害を訴える」「話がまとまらず支離滅裂になる」「一人でいることが多い」などがサインとして表れます。本人には現実味があり、それが病的な症状だとは気づきにくいものです。早く治療を開始するほど、回復も早いといわれていますので、ご家族や周囲の方がサインに気づいたときには、早めにご相談ください。

診療内科について

よく知られている心の不調には、
①統合失調症・双極性障害(躁うつ病)・発達障害・知的障害・人格障害、等、比較的に内因性の原因(遺伝的素因)が大きいもの。
②PTSD(性犯罪被害者、幼児期に受けた虐待の被害者、大災害の被災者、等)、高次脳機能障害(不慮の事故による頭部外傷の後遺症)、等、外因性の原因が大きいもの。
③うつ病/適応障害(職場のストレスや学校での人間関係の問題で発症しやすい)、不安障害(もともと心配性の人が、ストレスの強い環境に置かれ、感情の制御が不安定になる)、睡眠障害(ストレスや加齢で眠りにくくなる)、等の、生まれ持った性格(ストレス耐性の強さ)と環境要因(ストレスの強さ)が一定の割合で複合して発症するもの。

①や②の場合は、精神科の高度な知識を持った医師の対応が望ましい場合が多いですが、③の場合は、初診から寛解まで、一定の心療内科の知識を持った医師でも充分に対処可能です。
例えば言えば、風邪や胃腸炎を診察できない医師がいないのと同じようなものです。
もちろん、①や②のような比較的重症度の高い精神疾患でも、内服中の薬が合っており、症状が安定していれば、心療内科医でもカウンセリングや薬剤量の微調整が可能です。

心身症について

心療内科医が一番、患者さんに良い診療を提供できることの多い病態です。 似た言葉で「心気症=身体的原因が全くないのに、患者さんの思い込みによって起こる身体的苦痛」というのがあるのですが、心身症とは全く異なる概念なので、詳しく解説します。

「普段の排便は普通なのにテスト前や大事な会議の前になると下痢をする=下痢型過敏性腸症候群」、「雨の日に憂鬱になり、頭が痛くなる=頭痛症」、「小児喘息は治っていたはずなのに、風邪をひいたあとに咳が長引く=咳喘息」、「胃カメラや血液検査でいくら調べても原因が判然としないのに、吐き気や胃のあたりの不快感が慢性的に続く=機能性ディスペプシア」、「職場やプライベートのストレスで毎晩、蕁麻疹が出る」など枚挙に暇がありませんが、こういった症状を経験されたことのある方は多いのではないでしょうか。

目脂が止まらなければ眼科、骨折をすれば整形外科、月経不順なら婦人科、というように、どなたでも受診すべき科がわかる症状もあれば、「この症状、どこの科にいけばいいの?」と迷う方も多くいるのではないでしょうか?
心療内科の強みは、
①ストレスによる不調に対して、少量の向精神薬で短期間改善できる。
②「『精神疾患』というレッテルが何となく嫌だ」という人にカウンセリングや投薬ができる、という所にあると思います。
もちろん、状況に応じて内科薬等も処方できます。
慢性的な不調に悩まされている方など、是非、お気軽に受診してください。